「中学校運動部活動」 地域移行における 民間事業者参画の 現在と今後について(前編)

FIA-NEWS11月号-トピックス記事より- (2023/11/13) 

株式会社オークスベストフィットネス・藤﨑紀仁氏に聞く

 「中学校運動部活動」 地域移行における 民間事業者参画の 現在と今後について

<前編>

聞き手◎松村 剛(一般社団法人 日本フィットネス産業協会 事務局長)

右奥:(株)オークスベストフィットネス 専務取締役 藤﨑 紀仁氏 手前:FIA事務局長 松村 剛 

 学校の働き方改革を踏まえた部活動改革を進めていくうえで、国は部活動の地域連携や地域スポーツ・文化活動移行に向けた環境の一体的な整備事業を進めていくことを目指している。そして現在、複数の自治体において、「中学校運動部活動地域移行」の実践研究・実証事業の実施、さらに先進的な自治体では休日に限定した本格的な移行を前提とした委託の募集が進められるようになってきた。

 今号と次号では、こうした現状や経緯を踏まえ、運動部活動の地域移行に関する国の目指す方向性についてあらためて復習すると共に、いち早く本事業に取り組んでいる当協会加盟企業であり、千葉県(佐倉市)に本社のある株式会社オークスベストフィットネス専務取締役・藤﨑紀仁氏にその現状と意義についてお聞きした。

はじめに

「中学校運動部活動」地域移行事業の現況について

中学校運動部活動の地域移行事業については、学校の働き方改革を踏まえた部活動改革を進めていくうえで、国の取り組みとして文化部も含めた部活動の地域連携や地域スポーツ・文化活動移行に向けた環境の一体的な整備事業を進めていくことを目指しています。そして、令和3年10月に「モデル事業の実施」、令和4年12月にスポーツ庁、文化庁から「令和5年度以降の3年間を改革推進期間とした、休日の部活動の段階的な地域連携・地域移行」の方向性が示されて、今日に至っています。

 この事業の推進にあたっては、国が本事業に関係する予算も含めた「地域スポーツクラブ活動体制整備事業等」として、令和5年度に24億7千万円が計上され、令和6年度に向けては42億4千万がスポーツ庁より要望として国に上程されています。この予算の主な内訳は移行に向けた実証事業、または指導員の配置支援に充当されることが前提となっています。

 一方で、日本の市区町村数は1,724存在し、この予算額が満遍なく全国の自治体に配分されるかというと、なかなか困難であることが予想され、今後直近の自治体での地域移行への取り組みにおいては、自治体独自の予算拠出も踏まえて、自治体間格差が生じることが考えられます。

 とはいえ、全国の自治体においては生徒にとって望ましいスポーツ・文化活動を実現するとともに、少子化の中でも将来にわたり、我が国の子どもたちがスポーツ・文化活動に継続して親しむことができる機会を確保することは必要不可欠であり急務の課題。加えて、中学校教員の部活動の管理・監督・指導によるところの負担の軽減も、具現化に向けた取り組みとして必至という状況です。

 そのような背景から地域におけるスポーツ・文化活動の運営団体や指導者確保の方策、さらに費用負担の在り方などの課題等を整理・検証し、いち早く生徒にとって望ましい持続可能な部活動の実現を図らなければなりません。そして、その具現化に向けてようやく複数の自治体において、この「中学校運動部活動地域移行」の実践研究・実証事業が実施され始め、さらに先進的な自治体では休日に限定された本格的な移行を前提とした委託の募集が進められるようになってきました。

 ここで想定される委託先としては スポーツ団体、イベント企画会社、そして民間フィットネスクラブなどが挙げられています。FIAにおいては、スポーツ庁によって複数年にわたって重ねられてきた“中学校運動部活動の地域移行検討会議”に初期の段階からその検討委員として出席の要請を受け、対応してまいりました。このことからも本事業の取り組みにおける民間フィットネス事業者への期待は小さくないことがうかがえます。

 そこで今号と次号では、こうした現状や経緯を踏まえつつ、当協会加盟企業で千葉県(佐倉市)に本社のある株式会社オークスベストフィットネス様の実際の取り組み事例について本インタビューを通してご紹介したいと思います。

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