【事例紹介】消費者団体からの申し入れ・問い合わせの件(2013/8/1)

加盟企業への消費者団体からの申し入れと対応についての事例共有です。

5~6月にかけて、 2つの消費者団体から加盟企業数社に対し、クラブの規約・会則の内容に消費者契約法上疑義ありとして、当該規定の差し止め申し入れや問い合わせがありました。FIAでは加盟各クラブが情報を共有するため、以下に概要を記します。規約・会則などに不十分な面がある場合は、各企業にて善処をお願いします。指摘条項中には、多くの規約・会則に共通した考え方を問題視しているものもあります。
同様の事項やほかの種類の指摘を受けたなどの事例がありましたら、FIA宛にお寄せください。

1.発信元
①NPO法人 消費者機構日本
②(公社)全国消費生活相談員協会
いずれも「適格消費者団体」といい、消費者契約法12条・13条などに基づき、差し止め請求権などを有する団体です。

2.申し入れの概要
(1)規約などの不十分な点を善処することで解決できる事項

①会社の賠償責任免責の条文(例)
「本クラブ内で発生した紛失、盗難、傷害その他事故について会社は一切の責任を負わないものとします」「会員およびビジターが本クラブの利用に際して生じた盗難については、会社は一切損害賠償の責を負いません」「会社に故意または重大な過失がある場合を除き賠償責任を負いません
●消費者団体の指摘要旨●
「一切責に任じない」のはクラブに起因する損害も免責しており不当
「重大な過失」の表現はクラブの軽微な責任も免責しており不当
(善処の例)
多くの規約には「クラブに瑕疵がある場合を除く」「法の定めによるものを除き」といった文言があるが、これにならい該当部分を改善する。

②適用法および専属的合意管轄裁判所の条文(例)
「この会員規約に関する準拠法は、日本法とします。会員と会社の間で訴訟の必要が生じた場合、東京地方裁判所を当該訴訟の第一審専属的合意直轄裁判所とします」
●消費者団体の指摘要旨●
(各地に施設を保有するクラブの場合)地方顧客の提訴意欲を阻害する事項である
(善処の例)
管轄裁判所の記載がない規約も多く、「記載をなくす」「そのクラブ所在地を管轄する地方裁判所のような記載に変更する」などにより善処。

③会費の不返還に関する条文(例)
「既納の会費または受講料は、原則として理由の如何を問わずこれを返還しません」
●消費者団体の指摘要旨●
1年・半年等前納払いにおける途中キャンセル時、全額不返還は違法
(善処の例)
長期前払い会費の途中解約における前途分返金は必要である(FIAでもルール化している。FIAニュース2013年5月号4ページ参照)。https://fia.or.jp/wp-admin/post.php?post=25553&action=edit

(2)多くの規約・会則が共通して使用している考え方を問題視している事項および、各社(規約など)における対応が様々である事項
消費者団体の見解と当業界の従来の考え方に開きもあり、標準的・模範的対応は現時点ではなく、今後の知見蓄積による。

①会費の不返還に関する条文(例)
「利用の有無にかかわらず、退会月までは会費・授業料・年登録料・休料などの会費を支払わなければなりません」「会社は、○○の理由により本クラブの施設の全部または一部を休業することがあります」「・・・法令の定め又は会社が認める場合を除き返還しません」
●消費者団体の指摘要旨●
クラブが休業・休場した場合の会費の扱いが明確でない「法令の定め」は一般消費者には難解。「会社の認める」具体的内容が不明
(対応の現状)
会費の返還または繰り延べが適用される営業休止期間明示はクラブによりまちまちである(連続した○日間を超える休止、月間営業日数の過半の休止など明示の場合もある)「法令の定め・会社の認める場合」などの表現は通常使用される概念であると考える。

②規約・会則変更に関する条文(例)
「会社は、本規約、細則、利用規定、その他本クラブの運営、管理に関する事項を改定することができます。また、その効力はすべての会員に適用されます」
●消費者団体の指摘要旨●
既に入会している会員に規約変更を適用する場合には両当事者の合意を得る必要がある(対応の現状)既存会員は現行会則(クラブが改定できる)を了解のうえ、会員となっている点を説明する。
改定内容告知の時期や手法を丁寧化・明確化することにより既存会員に対応する時間的余地を用意する。

③ビジター・未成年会員の負った損害賠償責任を会員が連帯して負う条文(例)
「会員は紹介または同伴したビジターの責に帰すべき原因により発生した損害についても、その同伴したビジターと連帯して賠償責任を負わなければなりません」「親権者の同意を得た未成年の会員の責に帰すべき原因による損害に対して親権者が連帯して賠償責任を果たさなければなりません」
●消費者団体の指摘要旨●
同伴ビジターやジュニア会員に起因する損害賠償を正会員・親権者が連帯する根拠会員自身の帰責性の有無を問わずビジター責任と連帯させるのは会員に一方的不利未成年会員の責任を常に一律に親権者に連帯させるのは、民法(過失責任原則)に照らして疑問
(対応の現状)
・「入会審査を経ていないビジター入場は会員の紹介を前提に許可しているものであり、ビジターの責任を紹介者に連帯させている」との立場のもの、「会員紹介によるビジター入場者にも会員同様に会則が適用される」とするものなど、一様でない。
・「未成年会員の入会にあたっては、入会と連帯責任について告知したうえで、親権者の同意を得ての手続きとなっている」との立場に立つものが多い(子どもスイミングなどの会員入会の場合と、成人に近い未成年会員の場合では考え方も変わる場合がある)。

上記は、加盟会社への初めの申し入れ、回答に対する再申し入れなどをまとめています。FIAでは各企業・クラブによる判断を原則としますが、情報共有により参考としていただければ幸いです。

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