業界の最新情報をいち早くキャッチ!ISSUE フィットネス関連ニュース(2023年12月-日経記事より抜粋)

FIA-NEWS1月号-ISSUE フィットネス関連ニュース(2024/1/11)

 

公共施設の指定管理者制度20年
民間の工夫生かす運用を
地方自治を考える

「民間ができることは民間に」。そんな掛け声のもとで公共施設の運営を広く開放する「指定管理者制度」が導入されて20年。最近では事業者の応募が低調になるなど様々な課題が浮上している。民間の創意工夫を生かすためにも柔軟な運用が必要になっている。

 北九州市小倉南区にある通称「アドベンチャープール」。1986年開設の市の施設だ。管理はスポーツクラブを運営するNPO法人と民間企業の共同事業体が担う。市が2023年度からの管理者を公募したところ、2回連続で応募がなかった。管理料を引き上げるなど条件を変更した3度目の公募で、この共同事業体がようやく手を上げた。


北九州市は
7割が1社だけの応募

 北九州市は現在、制度の運用のあり方を見直している。254の公共施設に制度を導入しているが、このプールのように「応募が1社というケースが7割に上る」(市政変革推進室の徳永篤司氏)ためだ。約30の事業者に「応募する際の条件や課題」「自主事業をする際の制約」など様々な観点から意見を聞くサウンディング調査を実施し、24年早々に見直しの方向性をまとめる予定だ。

 03年の地方自治法の改正で導入されたのが指定管理者制度だ。公共施設を管理するのは自治体やその出資法人などに限られていたが、法改正で民間企業やNPO法人なども可能になった。民間のノウハウを生かすと同時に、自治体の行政改革を進めることが狙いだった。総務省によると21年4月時点で制度を導入している施設は全国で約7万7000ある。施設の種類別(文部科学省の調査)でみると、全国の公立の劇場などの6割、博物館の3割、図書館の2割が導入している。

経営難で撤退した例も

 北九州市に限らず、管理者を公募しても応募がなかったり、1社にとどまったりする事例が急増している。広島県呉市の大規模保養施設「グリーンピアせとうち」では、22年10月に市が23年度からの管理者を公募したところ、それまで担っていた業者も含めて応募はゼロだった。市は施設を民間に売却することを決めた。

 電気代も含めた物価上昇、人手不足、施設老朽化と事業者を取り巻く環境は厳しい。経営難を理由に指定管理者が撤退した施設数をみると、12年度から3年間は112、15年度から3年間は95だったが、18年度からの3年間は242に上った。


制度改善を求める提言が
続々と

 導入から20年たち、制度の改善を求める提言が相次いでいる。公立の劇場や音楽堂などが加入する全国公立文化施設協会は、公共施設は多様なのに一律の仕様書や選考基準が適用されがちな現状を強く批判。①施設を類型化して、制度を再構築する②文化芸術条例などで劇場などが果たす使命を明確にする③長期的に運営できるように指定期間を10年以上にする――ことを求めた。

 日本図書館協会は職員の処遇改善のために自治体に対して公契約条例を制定し、人件費を算定するように提案している。公契約条例とは公共事業などを発注する際に受注者に適正な賃金水準の確保を求める条例だ。全国の指定管理者で設ける協会は①業務委託と変わらない仕様書による発注ではなく、包括的な性能発注に変える②利用料を徴収できる施設を明確にし、自主事業を柔軟に認める――ことなどを課題として上げた。

 こうした要望を背景に、自治体側も様々な取り組みをしている。岡山県倉敷市は09年に更新制を導入した。指定期間は原則5年間だが、評価が一定基準以上ならば最大10年まで期間を延ばす。

 熊本市は24年度から担う業者の募集で通常の業務とは別に「提案事業」を設けるとともに、物価高騰が10%を超えた場合に事業者との協議に応じることを明記した。提案事業とは指定管理者が一法人として自らの責任と負担で収益を上げる事業のことだ。

 東京都杉並区は23年9月、制度を検証した報告書をまとめた。施設の利用者の満足度は高かった一方、区職員が業務や会計などに関する理解を深めることを課題として上げ、「一定程度の施設を直営などで運営する」方針を打ち出した。職員が精通していなければ、指導監督などできないからだ。

 制度の効果を高めるには「これでやれるはずだ」と行政側が決めつけずに、事業者側の意見を事前に把握し、募集や評価に活用することが欠かせない。

(2023年12月29日/日経グローカル)

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