業界の最新情報をいち早くキャッチ!ISSUE フィットネス関連ニュース(2023年3月-日経記事より抜粋)

FIA-NEWS4月号-ISSUE フィットネス関連ニュース(2023/4/10)

 

オンラインで回復に弾み カーブスHD、会員数戻る店舗と二刀流で50代、集客の柱に

女性向けスポーツジム「カーブス」を運営するカーブスホールディングス(HD)は、2023年8月期末の会員数が新型コロナウイルス禍前の水準に迫る82万4000人に回復すると見込む。3年前、上場直後にコロナ禍に見舞われ、一時は休会を除いた実質会員数が54万人にまで落ち込んだ。コロナ禍で培ったオンラインフィットネスを武器に、コロナ後へ向けて挽回を期す。

「(20年4月に発令された)緊急事態宣言により全店休業が続いた時期はものすごくダメージが大きかった」と増本岳社長は振り返る。コロナ前の会員数83万2000人(20年2月末時点)は、20年5月に34%減少(休会を除く実質会員数)。不採算店舗の閉店統合も進め、コロナ前(20年2月末時点)の2014店舗は、22年8月末には1947店舗となった。

 だが、コロナ禍の厳しい環境に対応したオンラインが反転攻勢の武器になりそうだ。同社は20年9月から、自宅にいながらスマートフォンやタブレットでレッスン動画を視聴できる「おうちでカーブス」を導入した。「オンラインを活用することで、1店舗あたりの商圏を広げられる可能性がある」(増本社長)という。

 1店舗の商圏は、人口密度などによって異なるものの、おおむね人口3~4万人の範囲としている。ただ「いつもはオンラインを使い、週に1回程度、遠隔から来店して指導を受ける会員も出てきた。山間部などで店舗を出すのが難しかったエリアでも会員を取り込めそうだ。店舗とオンラインの両方を使えるサービス『W(ダブル)プラン』で会員数を伸ばしたい」と増本社長は語る。

 高齢者はコロナ禍の外出自粛の動きに比較的敏感だったため、主要顧客が60歳以上のカーブスにとって新規集客は困難を極めた。そこで「21年から50代の新規集客を強化した。会員の若返りが進み、今では50代の新規入会が最も多い」(増本社長)。インターネット広告やテレビCMなどを強化し「若年層」の集客でカバーした。

 これまで掲げていた中期目標は25年8月期に会員数130万人、国内店舗数3000店としてきた。増本社長は「コロナ後の戦略は立て直し中。時期はずれるものの、基本的な目標は変わらない」とする。政府が23年5月に新型コロナを感染症法の「5類」に移すこともあり「社会活動が回復してシニアの市場も復活していけば、この数年は十分、既存店会員数を増やしていける見込みだ」と増本社長は期待する。

 今後の懸念材料は、6月からの月会費の引き上げだ。従業員の賃上げ原資とする方針。値上げが続くなかで消費者の生活防衛意識の高まりがジム代の削減につながるかは読み切れない。増本社長は「価格に見合う存在になる以外に策はない。22年6月から新規会員の会費はすでに上げているが影響はほとんどないので、大丈夫だろう」とみる。

 市場の見方は慎重だ。株価は22年11月に1000円台をつけてから下落基調をたどる。auカブコム証券の河合達憲チーフストラテジストは「(株価の動きは)コロナ後の業績回復はすでに織り込んだという見方ができる。(コロナ後に)新規参入が増えて、ジムがコンビニのようにありふれた状態になると難しい市場環境になる」とみる。

 増本社長は「コロナをへて消費者心理も変わっている。潜在的な需要を顕在化して自社の売り上げにつなげられるかが重要だ」と力を込める。

(2023年3月2日/日経)

 

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