FIA-NEWS11月号-ISSUE フィットネス関連ニュース(2023/11/13)
足のつりはこう防ぐ就寝前の水分・タオルストレッチ 元気の処方箋
(東京大学医学部付属病院 理学療法士 山口正貴さん)
中年以降「足がつる恐怖から寝るのが怖い」と話す人は意外に多い。「つる」は医学的に有痛性筋痙攣(けいれん)といい、痛みを伴う筋肉の痙攣を指す。
仕組みは未解明だが、筋疲労、脱水、電解質異常等が原因で筋肉にある収縮に関わるセンサーが強化される一方で、弛緩(しかん)のセンサーが弱まり、筋肉が強く縮み続けて緩ませられなくなった状態と考えられている。
運動中と就寝中につりやすい。運動中は若年層であるスポーツ選手も足がつって倒れ込む場面を一度は見たことがあるだろう。発汗の多い夏は特にこまめなスポーツドリンク等の摂取が大切である。
就寝中は夜中や明け方に寝返りや伸びをした際につりやすく冬に多い。ある患者は夜中にふくらはぎがつるも対処法を知らず30分も七転八倒したという。その代償は大きく全身の筋肉に強い痛みが生じ、回復に数週間を要した。
筋肉は強く収縮し続けると破壊され、筋肉の成分が血液中に流れ込み、全身の臓器がダメージを受ける横紋筋融解症を起こす可能性もあるため、早めに鎮めておきたい。
対処法はつった筋肉をゆっくり伸ばすことだ。例えば、ふくらはぎがつるとつま先は下がるので、手を使ってつま先を上げる方向に伸ばしていく。太ももの前がつった場合は膝が伸びるので、うつ伏せになって手で足首をつかんで膝を曲げる。要は関節が動いた方向とは逆方向に伸ばせばよい。落ち着いた後もしばらく伸ばし続けて弛緩センサーを十分に回復させることが重要だ。そうしないと直後に再びつることがある。
予防策には就寝前に水を飲むほかにストレッチを勧めたい。①あおむけに寝てタオルを細長く持ち片足のかかとにかける②膝は伸ばしたまま腕の力で足を引き上げて、太ももの裏が伸びるのを感じたら止める③つま先を上げて足の指はパー、つま先を下げて足の指はグーを交互に10回繰り返す。これを左右行う。
頻繁につるなら病気の可能性もあるため医師に相談を。
(2023年10月2日/日経)
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