フィットネス産業の業態と 顧客ニーズ多様化の中での各社成長戦略をズバリ聞く
FIA-NEWS8月号(2026/8/19) TOPICS記事より
フィットネス産業の業態と顧客ニーズ多様化の中での各社成長戦略をズバリ聞く
《パネリスト》
笠原 盛泰 氏
アイレクススポーツライフ株式会社 代表取締役会長/FIA理事
黒田 雅実 氏
スポーツクラブNAS株式会社 代表取締役社長/FIA副会長
《ファシリテーター》
吉田 正昭
一般社団法人 日本フィットネス産業協会専務理事
フィットネス業界は、コロナ禍を経て低価格・専門業態の台頭や顧客層の変化、人件費・建築費の上昇、人材不足など厳しさを増す一方、健康寿命の延伸や健康経営への関心が高まっており、フィットネス産業にとって新たな好機といえる。
笠原盛泰会長は地域密着と高付加価値を追求し、AIを活用した新業態にも挑むアイレクスの、黒田雅実社長は総合クラブの強みを生かし、コミュニティ、アライアンス、デジタルを通じて事業領域を広げるスポーツクラブNASの、それぞれの成長戦略を紹介。「選ばれるクラブ」をつくるためのヒントを探った。
司会 本日は暑い中、私ども一般社団法人日本フィットネス産業協会でご提供させていただきますセミナーにお集まりいただきましてありがとうございます。
本日ご登壇いただきます講師の先生をご紹介させていただきます。まず、アイレクススポーツライフ株式会社代表取締役会長で私どもFIAの理事を務めていただいております笠原盛泰様でいらっしゃいます。そしてもうひと方、スポーツクラブNAS株式会社代表取締役社長で、この度新たに私どもFIAの副会長にもご就任いただきました黒田雅実様でいらっしゃいます。ファシリテートを務めますのは、私どもFIAの専務理事であります吉田正昭でございます。それでは吉田さん、よろしくお願いいたします。
吉田 改めまして、皆様おはようございます。お2人にはホットな話題を持ってきていただいていると思います。特に笠原さんはAIジムを9月オープンされます。その辺のこともお話しいただけるということで楽しみにしております。
黒田社長はNAS待望のプロパー社長として現場を熟知されていて、NASはこの2年ぐらいで大きく変わっていると思います。大和ハウスという大きなグループの中での新たなポジションということも含めてお話ししていただきたいと思っています。本日は各々30分ずつ、各社の状況などをお話しいただきます。まずは笠原会長からお願いします。
材木店を原点に多角的に展開
笠原 皆さん、おはようございます。アイレクススポーツライフの笠原でございます。日頃いろいろなところでお世話になっている方も多いと思います。いつもありがとうございます。FIAでは、吉田専務にご指導いただきながら、検定制度や認証制度などにも携わっています。本日はご指名いただき、現状について話をしてほしいと吉田専務からご要望がありました。コロナ以降の動きから現状、そして新しい業態などをお話ししたいと思います。写真撮影は禁止ですから具体的な数字も出していきます。少しでも何か皆さんの役に立てればと思っておりますので、よろしくお願いします。
それでは自己紹介をさせてください。1959年7月5日生まれで大谷翔平と同じ誕生日です。東京生まれで、ご縁があって愛知県豊川市の材木屋に婿入りし、家業を継ぐことになりました。当時、材木業の将来を見据えて「新しい事業を考える必要がある」と助言を受け、いわゆる不動産プロデュース事業を立ち上げました。材木屋の跡地に商業施設をつくり、その施設のテナントとして当時オリンピックさんのフィットネスクラブが入居したことが、この業界との最初の接点でした。その後、商業プロデュースや飲食、物販などにも事業を広げていきます。フィットネスクラブについては直営化し、「アイレクス」ブランドとして展開するようになりました。現在は不動産プロデュース事業として豊川駅前でホテルとオフィスの複合開発にも取り組んでいます。
少し特殊な経歴かもしれません。地域では商工会議所や観光協会などの活動にも携わっています。豊川市といえば豊川稲荷ですが、赤坂にも豊川稲荷があります。しかし、あちらは分院で、本山は愛知県豊川市にあります。今年は72年ぶりの御開帳が予定されており、多くの方に訪れていただきたいと思っています。
当社の本社は愛知県にあり、東京には支社を置いています。グループ全体では、商業開発や不動産プロデュースなど複数の事業を展開しています。ルーツは大正時代に創業した材木店です。「白与」という屋号は、白木と創業者・笠原与七の名前から一文字を取って名付けられたもので、現在の「ハクヨ」へとつながっています。
デザインと地域密着で事業を拡大
笠原 フィットネス事業は「アイレクス豊川」の開業からスタートしました。その後、アイレクス豊田をはじめ、高級クラブ業態「アイレクス・ザ・クラブ」、24時間営業の小型業態「アイレクス・ライト+24」、ジュニアスクール「アイレクスNEO」など、さまざまなブランドを展開してきました。IPOを検討したこともありましたが、コロナ禍に入り計画の見直しを余儀なくされました。近年は新施設の開業を進め、現在はAIを活用した新業態の開発にも取り組んでいます。
私たちは大手企業と同じ土俵で競争することは考えていません。愛知県・豊川市を中心とした地域ドミナント戦略を採用し、「地域密着」を最大の強みとしてきました。もともと商業施設のプロデュース事業を手掛けてきた経験があり、「ハイクオリティ・ローコスト」の施設づくりには自信があります。見た目の質感は高く、かつ建設コストを抑える設計・プランニングのノウハウを蓄積してきました。
約20年前、海外視察でアメリカとヨーロッパのクラブを訪れました。当時のアメリカは、大型施設にマシンが並ぶ機能重視のスタイルが主流でした。一方、イタリアをはじめとするヨーロッパでは、レストランやコミュニティスペースを備え、施設そのものを楽しむ「クラブライフ」が形成されていました。私たちは、そのヨーロッパ型の考え方に共感し、デザイン性を重視した施設づくりを進めてきました。現在では建築コストも大きく上昇していますが、限られた面積の中で最大限の価値を生み出すため、動線設計やレイアウトには徹底的にこだわっています。例えば浴室では、「通路幅はどの程度が最も快適か」「利用者同士の視線をどう遮るか」といった細部まで検証し、利用者が快適に過ごせる空間づくりを追求してきました。
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