健保組合の 保健事業を取り巻く環境について ~体力テスト事業への期待~
FIA-NEWS7月号 (2024/7/12)
健康組合の保健事業を取り巻く環境について~体力テスト事業への期待~
FIAが率先垂範して取り組むフィットネス体力テストは、トライアル期間を経て、昨年8月よりいよいよ実装に入ってきたが、現状はまだ道半ばといったところ。しかし、そんな中、健康保険組合連合会との連携によって、本事業への期待が大きく高まってきた。
そこで今号では、6月17日(月)、FIA総会に特別講師としてお招きした健康保険組合連合会参事である小松原祐介氏による講演『健保組合の保健事業を取り巻く環境』を再録記事として紹介する。
本セミナー開催にあたって
(一社)日本フィットネス産業協会 専務理事 吉田正昭
皆さん、こんにちは。フィットネス体力テストは、トライアル期間を経て、昨年8月よりいよいよ実装に入ってまいりました。しかし、スタッフのスタンバイ状況も含め、まだまだ道半ばといったところです。そういった中で、我々はどのようにしてこの体力テストを普及させていくかということを考えたとき、これまではどちらかといえば実務先行で取り組み、その進捗について都度ご案内させていただきましたが、次のステップとして、経営的な視点と本来の意義について、皆さま方とあらためて共有できればと思います。
そのためのより具体的な施策案が健康保険組合連合会様との連携です。私は、この体力テストを健康診断の中に組み入れることができないかと考え、かねてより健康保険組合連合会の小松原さんにご相談させていただく中で、どのようなかたちであればそれは可能かということの議論を重ねてまいりました。とはいえ、先ほど申しましたように我々のほうのスタンバイがなかなか進んでいなかった実情もあり、小松原さんの要求に迅速に応えられない状況が続いておりました。
議論の中では、健康診断と体力テストとの一体化を目指し、そこから健康に向かうためのアクション、すなわち運動習慣につなげていくことができないか……。ここを議論のスタートとし、この取り組みが全国的に広がっていけば、健康診断と体力テストの結果がデータ化されていく。そして、そのことが国民の健康づくりの具体的なアクションにつながっていく、と。それによって、急速な勢いで進んでいる高齢社会の課題解決につながる大きな施策にもなると確信し、議論を深めているところです。
我々FIAに加盟していただいている企業の多くは総合クラブです。総合クラブにはさまざまなバリエーションがあり、長年培ってきた会員の方々とのコミュニケーションや信頼関係も含めて、総合クラブならではの優位性を備えています。そういった特長をより生かす手段として、この体力テストは、今後の日本社会において大きな救世主的な役割を果たすのではないか。
『人生100年時代』といわれています。医療の進歩によって間違いなく平均寿命は伸びるでしょう。しかし、健康寿命もそれに歩調を合わせていかなければ、本末転倒といえます。『人生100年』とはまさに“地に足のついた”ものでなければなりません。すなわち、寝たきりであっても100歳まで生きるということではなく、やはり見た目にも若々しく活力ある行動力を伴ってこそ、その本来の意義を具現化できるものであると思っています。
現在は、chocoZAPさんの出店数が大きな話題になったりなど、それらの勢いに押され気味のような雰囲気もありますが、我々の底力というのは、本来こんなものではありません。今後、日本国民を健康に誘うための事業を展開できるのは、我々の総合クラブだと思っています。
そこで、本日は健康保険組合の現状や未来予想図について小松原さんからお話しいただくことによって、あらためて体力テストの意義について再確認し、さらに今後我々が次のステップに向かうビジネスチャンスと捉えていただく貴重な機会にしていただければと思います。
皆さんにはもはや“釈迦に説法”ですが、いい場所に、立派な施設をつくって、「さぁ来てください」という時代はもう終わっています。これからは、国民の健康、体力増強ということを踏まえ、その目的に対して我々はどれだけ寄与できるかというところが総合クラブの本当の意味での役割ではないかと思っています。その実現のためにも、我々は本日の小松原さんの基調講演を参考にしながら、次の策をしっかりつくり上げていきたいと思っています。それでは、小松原さん、どうぞよろしくお願いいたします。
皆様、こんにちは。ご紹介いただきました健康保険組合連合会の小松原と申します。この度は、大変貴重な時間いただきましてありがとうございます。冒頭、自己紹介を兼ねて、我々はどういう組織なのかということについてお話をさせていただきます。
本日はスポーツ庁の和田課長もいらっしゃっておりますが、私は、スポーツ審議会の健康スポーツ部会の委員を務めさせていただいており、また事務局長の松村さんとは過去にウォークビズの検討会でもご一緒させていただきました。一方、厚労省では特定健診・特定保健指導の検討会の委員、また経産省では健康経営優良法人基準検討委員会の委員なども務めさせていただいております。
本日お話する内容は3点です。1点目は医療保険制度における健保組合の今の立ち位置について、2点目は健保組合における予防・健康づくりの現状について、そして3点目がおそらく、皆様が一番知りたいと思われる健保組合を取り巻く社会環境の変化と全国カラダ年齢測定への期待について。この3部構成でお話をさせていただきます。
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