FIAセミナー総合型クラブの今後の差別化と価値の再構築について -後編-
FIA-NEWS11月号(2025/11/14) TOPICS記事より
SPORTEC in 東京 FIAセミナー③報告
FIAセミナー総合型クラブの今後の差別化と価値の再構築について
〜FIA事業責任者会議の議論から〜後編
2025年7月31日(木)、11:00〜12:30 会場:東京ビッグサイト
《パネリスト》
妹尾 有信氏 (株)ティップネス 執行役員 経営マネジメント本部 副本部長 FIA事業責任者会議 議長
山中 博樹氏 グンゼスポーツ(株) 執行役員 店舗運営委員会委員長 FIA事業責任者会議 副議長
林 政貴氏 野村不動産ライフ&スポーツ(株) 営業一部長 FIA事業責任者会議 副議長
《ファシリテーター》
松村 剛
一般社団法人日本フィットネス産業協会 事務局長
コロナ禍後、全体としては店舗数、売り上げともに順調な伸びを見せているフィットネス業界。実際には二極化が進んでいて、特に総合型は苦戦を強いられている店舗も少なくない。
さまざまな業態の知見を取り込み、業界を横断して議論を重ねているFIAの事業責任者会議から、妹尾議長、山中副議長、林政貴副議長の3名にお越しいただき、業界の現状分析と今後に向けた課題をご紹介いただいた。今号と次号では、総合型の業容回復と持続的成長に向け、現場起点の課題と解決策を探り、業界全体のアクションへとつなげていきたい。
業界再編やライフスタイルの変化
『機会』
山中 私の方からはSWOTのO、「機会」の説明をさせていただきます。これも大きく4つに分かれています。機会として捉えているものには、超高齢化社会や、医療費など健康支出の増大、小中学校のプールや部活動の廃止。独居や介護予防、フレイル予防のニーズが増えていること、そして法人向けの健康経営のニーズも増えています。また、FIAを挙げて取り組んでいることですが、『カラダ年齢測定』への期待、これも機会として捉えていいのではないでしょうか。ユーザーニーズの細分化や個別最適化のニーズも増えてきています。ウェルネスやリカバリーもそうです。そしてウェルビーイングやライフスタイルの変化など、フィットネスのニーズは変遷しています。
お子さんの習いごとでは、水泳は不動のナンバーワンです。これも機会ですよね。業界動向の話でも出ましたが、市場規模としては拡大しています。これも大きな機会です。インバウンドの需要も増えている。外国人の方の流入も右肩上がりです。国にもよりますが、フィットネス参加率というのは日本より高い国も多くありますので、機会としてどう取り込めるかを考えております。

山中 博樹氏 グンゼスポーツ(株) 執行役員 店舗運営委員会委員長 FIA事業責任者会議 副議長
そして業界再編。各社さんが協力して業界を再編していっていることも、機会と捉えましょう。逆に、総合型競合店の退店も機会になります。ご経験ある店舗の方もいらっしゃるかもしれませんが、近隣の店舗が閉鎖して会員様が流れてくることは大きな機会です。
SDGsの取り組みや、働き方の多様化もそうです。可処分時間の増加が機会ですね。テレワークの普及など在宅勤務などが増えてきて、その可処分時間が増えている方々を取り込むチャンスはあるのではないでしょうか。また、新たなプラットフォームの出現。最近でいうとGYYMやClassPass…hacomonoさんが出されているFitFitsなど、そういった新しいプラットフォームの出現も機会です。先ほど妹尾さんから「コモディティ化」というお話がありました。だいたいどこの店舗でも同じようなものがあるかと思いますが、施設の会員になっていただくにはなかなか難しいかもしれないけれども、このコンテンツだけは他の店に負けないと。その自信のあるコンテンツを、新たなプラットフォームに乗せて売ることもできるのではないか。そういったところも機会になると思います。
SaaSも同じような話ですけれども、世の中が変わってきて、新しいプラットフォームが出てきていることに対してどのように戦略化していくかにつなげていきたい。こうやって見ると、いろいろ機会があるもんだなと改めて感じています。各社さんから挙がってきたこういうものを、活かしていきたいなと思っております。 私から機会の話は以上です。
人口減少やエネルギーコストの上昇
『脅威』
林 私から脅威の部分をお伝えさせていただきます。これも4分類をしておりまして、買い手・売り手・代替品・新規参入となっています。いろいろな意見が出ていて、この4つの分類にしております。
まず、買い手について。我々はお客さまにいらっしゃっていただいて成り立つものですので、少子高齢化や人口が減少しているということは、脅威になります。医療制度とリテラシーの低い国民性に関して予防というよりは治療、何か起きてから治療するという流れが日本の場合は非常に強いのではないでしょうか。20〜40代の女性の運動離れもあると言われていますが、予防と医療とでは、やはり医療の方が非常に制度としては充実していますので、脅威になると思います。一方、異常気象や感染症、コロナ後の生活、就業スタイルの変化など……災害などが起きた場合、我々は事業を継続できるのか。これはコロナで強く感じた部分でございますが、これは買い手の部分での脅威ではないでしょうか。

林 政貴氏 野村不動産ライフ&スポーツ(株)営業一部長 FIA事業責任者会議 副議長
売り手に関しては、現在はさまざまなモノが高騰しています。ここが本当に苦しいとの話も出ました。物価の高騰もそうですし、エネルギーコストも上がっています。この高騰という部分は今後考えていかなければいけない、そして皆さん悩んでいらっしゃる部分ではないか思っております。一方で、強みの部分でもお伝えしましたが、人を強みにしていくには、どうやって労働市場の過熱化の中で人を採用し、育成し、活用していかなければいけないのか。こちらも非常に考えなければいけない部分です。強みである一方、この脅威というものは常に頭に入れておかなければなりません。
ランキング
- 1. 法務関係水中音楽プレーヤーのプールでの利用可否
- 2. FIA活動情報FIAからのお知らせ(2025年10月)
- 3. 法務関係フィットネスクラブで使用する音楽の使用料 の支払いについて
- 4. 施設クラブ館内温度基準
- 5. スタッフ強化ボクササイズの商標について(注意喚起)
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