一般社団法人 日本フィットネス産業協会

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フィットネス産業の新たな時代を牽引するリーダーに聞く!

FIA-NEWS9月号(2025/9/16) TOPICS記事より

SPORTEC in 東京 FIAセミナー②報告
フィットネス産業の新たな時代を牽引するリーダーに聞く!
〜これからのフィットネス産業はどのように成長の軌跡を歩んでいくべきか〜

 

2025年8月1日(金)11:00~12:30 会場:東京ビッグサイト

《パネリスト》
望月 美佐緒氏 株式会社ルネサンス 代表取締役社長
室田  健志氏 
コナミスポーツ株式会社 代表取締役社長

吉田 正昭
 一般社団法人日本フィットネス産業協会 専務理事

《ファシリテーター》
吉田 正昭
 一般社団法人日本フィットネス産業協会 専務理事

 

人口減少によって、顧客だけでなく、フィットネス業界で働く人材の減少も危惧されているフィットネス業界。

望月社長はインストラクターから新規事業やヘルスケア事業全般を、また室田社長は営業と、現場出身の幅広い視点を活かし、自治体とのスポーツクラブのノウハウを活かしたさまざまな取り組みや、地元のスポーツチームを盛り上げて地域振興に貢献するなど、多様な事業を行うことで、両社は顧客と人材の獲得に成功している。

さらには、核となる総合スポーツクラブの位置づけを変えることで、さらなる市場拡大を図るなど、コロナ禍や人口減少などの影響を最小限にし、業界のさらなる成長につながるヒントについて、業界を牽引する最大手2社の社長に語り合っていただいた。

 

司会 本日はお忙しいところ、私どもFIAが提供いたしますセミナーに足をお運びいただきまして、ありがとうございます。これより、FIAセミナー『フィットネス産業の新たな時代を牽引するリーダーに聞く! 〜これからのフィットネス産業はどのように成長の軌道を歩んでいくべきか〜』というタイトルで、90分間、皆さまにご参加いただきます。トップ企業のお2人にお話をお伺いいたしますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、ご登壇いただきます皆さまのご紹介をさせていただきます。 コナミスポーツ株式会社代表取締役社長、そして私ども日本フィットネス産業協会副会長も務めていただいております室田健志さんです。そして、株式会社ルネサンス代表取締役社長執行役員を務めていらっしゃいます望月美佐緒さんです。さらに、このセミナーのファシリテーターを務めますのは、私ども日本フィットネス産業協会専務理事の吉田正昭でございます。それでは、よろしくお願いいたします。

吉田 改めまして、フィットネス産業協会の吉田でございます。本日は、望月社長と室田社長の業界大手のお2人をパネルディスカッションという形で、お招きさせていただきました。このお2人はさまざまな現場をしっかりと押さえてステップを上がって来られた方々で、お客さまに対しての視点もお持ちでいらっしゃいますから、皆さまの今後につながる貴重なお話を聞けるのではないかと思います。

 では、望月社長から、ご自身のプロフィールも含めて会社の状況をお願いいたします。

 

ルネサンスと望月社長のキャリア


望月美佐緒氏 ㈱ルネサンス 代表取締役社長

望月 望月です。よろしくお願いします。かつての上司だった吉田さんとこのような場に立てるということを、非常に嬉しく思っております。室田さんも私も現場からスタートしておりますので、そのようなこともお話しできればと思っております。

 最初に、ルネサンスの現在とこれからについてお話しいたします。私は今年の4月に社長に着任したばかりで、昨年12月に社長就任を発表してから、目まぐるしくさまざまなことが変わったと感じております。社長になるまでは見えなかった景色というものがあります。本日こちらに来ております会長の岡本(利治)や、吉田さんなど…社長を務めてこられた方々は、このような景色を見ながら経営されてこられたんだな、と感じているところでございます。

 皆さんご存知の方も多いかもしれませんが、私はインストラクターやトレーナーからキャリアをスタートしています。20代の頃は、ルネサンスがあまり直営店を持っていなかったということもありまして、受託先のホテルニューオータニで、ルネサンスのトレーナーの仕事をスタートしました。ここでは非常にさまざまなことを学ぶことができました。その当時のニューオータニのフィットネスクラブは入会金が200万円、そして保証金が200万円でしたので、あまり一般の方はいらっしゃらない。 当社の株主でもある住友生命様がニューオータニ大阪のオーナーでした。当時の(住友生命の)千代会長(故人)や、サントリーの佐治会長など、そのような方々がニューオータニのクラブにはたくさんいらっしゃって、経営者の方々と接することができたことは、私の大きな財産になったと思っています。

 30代に入ると、私は受託先のニューオータニから、ルネサンス直営店の1店舗目である幕張のお店に転勤になります。当時はエアロビクスブームが来ていました。その頃、ルネサンスは幕張店と水戸店しか直営店を持っていなかったのですが、水戸では、スタジオに入りきらない人が廊下にあふれてエアロビクスを行っているという状況。その様なブームを受けて、ルネサンスは新規出店やM&Aを加速させていきます。

 私はスタジオのスーパーバイザーということで、スタジオの品質管理が主な業務でしたので、インストラクターの方にさまざまな働きかけをしていたのですが、実力がないと話を聞いてもらえないという現実に直面しました。集客ができていなければ、話も聞いてもらえない。「マニュアルがこうなっていますから…」と言っても、まともに相手にしてもらえず自分が実力をつけるしかないなということを30代には感じました。IDEAやIHRSA(現在のHFA)のコンベンションなどにプレゼンテーターとして選ばれるようになり、徐々に実力を認めていただいたと思います。

 ご覧いただいております上の写真はインターナショナル・アクアフィットネス・カンファレンスのプログラムの表紙で、プエルトリコの人に抱きかかえられているのが私です。この前年にコンベンションに出たときの写真ですね。そのときは200人以上の方々がプールに入られていて、私がプレゼンを終えた時にすごい歓声で迎えてくださって…。そのときの写真が、翌年のプログラムの表紙になったというのが経緯です。

 40代前半は、スポーツクラブがどんどん拡大していくのですが、後半は、事業の成長が少しずつ緩やかになってしまう、という時期を迎えます。ルネサンス自体は6期連続2桁成長しておりまして、その成長ぶりを無酸素運動などと呼ばれることもありました。「無酸素運動というのは、20秒か30秒しか続かないんだけど…」とか裏では言いながら、気がつけば「(酸素の補給などせず)どんどん進め!」という状況でした。この時点で売上高ではトップ3くらいにはなっていたでしょうか。私自身も、部長から役員になり、専門性だけではなく、さまざまな知識やスキルが求められるようになってきたと思っています。

 ただ、私たちが40代後半に差し掛かってくると、ボーダーレス化がどんどん進んでいきますし、既存モデルだけで成長していくのはなかなか難しいのではないかと、新しい運動コンテンツや、運動だけではないということで、シナプソロジーなど認知機能の低下予防のメソッドを開発していきます。現在もシナプソロジーのプログラムに関しては、およそ400カ所の施設で使っていただいています。主に介護施設やドラッグストアのような所です。そして個人としても2000名以上の方々が資格を取得してくださっています。

 50代に入りますと、カーブスさんやエニタイムフィットネスさんなど小型のジムが増えてきて、プレーヤーとしてもさまざまな方々が出てこられている時代だと思います。私たちはスポーツクラブということを核として、B to Cビジネスや介護領域などへの進出を模索し始めます。当時、吉田さんが私の上司でした。私はスポーツクラブの商品開発が大好きで、自分が生涯かけてやりたい仕事だと思っていたのですが、あるとき、急にヘルスケア部門に異動になりました。私は、自分の人生は自分で決めたいなと思っています。とはいえ、会社には人事異動があります。私自身を納得させられるように行動しようと、吉田さんに話を聞きに行きますと、大変分かりやすくご説明いただいたんです。これからの時代は、装置産業だけでなく、どちらかというソフトで稼いでいくということを模索しなくてはいけない。お前以外に誰がやるんだ、と。私も、それならばやってみよう! と思え尽力しました。

 岡本の前に、髙﨑(尚樹)という社長がおりました。社長になって2ヵ月ほどで亡くなってしまったのですが、50代は高崎の下で、B to BやB to C、そして新たに進出した介護事業について拡大していくことに取り組んでいました。それまでスポーツクラブの企画部門に携わっていた私にとっては、新規事業を進めるということはとても大変でした。社内なのに、アウェイにいるような気持ちで過ごしていましたね。しかし、このときの経験があったからこそ、今があるとも思っています。スポーツクラブの外に出たことが、大変貴重なできごとだったと思います。

 そして、コロナ禍を迎えます。皆さん本当に大変でしたよね。しかし、コロナ禍によって私たちの事業はかなり進化したと思っています。コロナ禍の最中に髙﨑社長がお亡くなりになり、また住友生命さんや損保ジャパンさん、そしてアドバンテッジアドバイザーズさんなどに資本参加をお願いすることになった。そこからでしょうか、スポーツクラブの1本足打法から本気で外に出ることを考える、いいきっかけをいただいたのではないか。会社全体もその方向性に舵を切れたということが、今につながっていると思っています。

 そして今年の4月に社長に就任いたしました。ルネサンスは、企業理念である『生きがい創造企業』を非常に大事にしています。入社する学生さんたちも、この理念にひかれてという方が非常に多いですし、自分自身の生きがいをお客さまの生きがいにつなげる、ということにしっかり取り組んでいきたいと、今も変わらず考えております。

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