一般社団法人 日本フィットネス産業協会

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フィットネス施設が孤独の危機を解決する方法

ここに紹介するトピックスは、HFAとFIAの提携によりHFAがリリースしたレポートの一部を要約して紹介する、海外フィットネス関連情報です!

 

FIA-NEWS7月号 HFAグローバルレポートより(2025/7/14)

 

フィットネス施設が孤独の危機を解決する方法

 

社会学者レイ・オルデンバーグは、1989年に出版した著書『The Good Great Place(邦題:素晴らしい場所)』の中で、カフェ、公園、公共図書館といった「サードスペース」という概念を提唱し、それらはコミュニティの拠点であり、第二の故郷のような存在であると述べています。そして現在では、フィットネス施設が孤立や孤独の危機を解決するスペースとして注目されてきています。
そこで、今号では施設を地域社会のサードプレイスとして確立する方法ついてご紹介します。

筆者:Julie King(ジュリー・キング)

翻訳:松村 剛

 

はじめに

 長期にわたる孤立、長時間画面と向き合う習慣、そしてコミュニティの集いの場の不足は、世界中で孤独の危機を引き起こしています。

 コロナパンデミックによるロックダウンによって長引く習慣と心理的影響によって生じたこの孤立は、テキストメッセージやZoom通話ではなく、社会的なつながりや直接人との交流を切望する人々を惹きつけています。

 米国公衆衛生局長官は2023年、孤独と孤立を「伝染病」と呼び、世界保健機関(WHO)は、社会的なつながりが不足している人は早期死亡のリスクが30%高くなることから、孤立と孤独を世界的な優先課題として取り組むため、「社会的なつながりに関する委員会」(2024〜26年)を設立しました。

 世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイェスス事務局長は、「世界中で社会的孤立と孤独感が高いことは、健康と幸福に深刻な影響を与えています。十分な社会的つながりを持たない人は、脳卒中、不安、認知症、うつ病、自殺などのリスクが高くなります」と述べています。

 社会学者レイ・オルデンバーグは、1989年に出版した著書『The Good Great Place(邦題:素晴らしい場所)』の中で、「サードスペース」という概念を提唱し、それらはコミュニティの拠点であり、第二の故郷のような存在であると述べています。

 オルデンバーグは、サードスペースを、人々が気軽に訪れ、気軽に交流できる中立的な場所と表現しています。

「サードスペースは、仕事や家庭生活のプレッシャーから解放され、人々がコミュニティとのつながりを感じられるよう、重要な役割を果たしています」と、全米スポーツ医学アカデミーの産業開発・広報担当副社長であるデビッド・ヴァン・ダフ氏は述べています。

「人間は本来社会的な存在であり、コミュニティはモチベーション、責任感、帰属意識を育む支援ネットワークを提供します」

 

第二の我が家

 教会グループや社交クラブ(エルクスロッジ、ロータリークラブ、コロンブス騎士団など)といった伝統的な組織は、かつてのような魅力を失っています。

 コーヒーショップ、図書館、その他馴染みのある商業施設や公共の集会所も、サードスペースとしての役割を担う機会は減っています。業界関係者によると、フィットネスセンターやブティックがこの空白を埋めることができるとのことです。

「ヘルスクラブは、身体の健康、精神の健康、そして社会的な交流を、活発で支え合う環境の中で組み合わせているため、サードスペースとして独自の位置を占めています」と、ミズーリ州とイリノイ州に19の拠点を持つクラブ・フィットネスのマーケティングディレクター、ブライアン・サリバン氏は述べています。

「ヘルスクラブは、共有された経験、相互支援、そして共通の目標を通して、人々のエンゲージメントを育みます」

 社会的孤立をますます深刻化させているもう一つの要因は、職場の変化です。かつては対面での交流の拠点だった職場は、多くの人にとって、自宅で画面の前で過ごす時間が増えただけになってしまいました。

「在宅勤務が増え、デジタルでのつながりを感じながらも社会的に孤立していると感じる人が増えているため、コミュニティ、ルーティン、そして目的意識を感じられる場所へのニーズが高まっています」と、カリフォルニア州サンルイスオビスポにあるMcAlister Trainingの共同オーナー、ローレン・マカリスター氏は述べています。

「サードスペースは、仕事や家庭以外の場所で、つながり、アイデンティティ、そして帰属意識を提供することで、このギャップを埋めるものです。」

 

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