一般社団法人 日本フィットネス産業協会

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市場の変化と顧客のインサイトを見極め 「選ばれる理由」と 「選ばれる衝動」を創り成長を続ける トリドールホールディングス・丸亀製麺の マーケティング戦略

FIA-NEWS7月号 (2025/7/14) 

市場の変化と顧客のインサイトを見極め「選ばれる理由」と「選ばれる衝動」を創り成長を続けるトリドールホールディングス・丸亀製麺の マーケティング戦略

2025年6月13日(金)

《スピーカー》
南雲克明氏
(株)トリドールホールディングス 

 執行役員兼CMO、最高マーケティング責任者

《ファシリテーター》
吉田正昭
(一社)日本フィットネス産業協会 専務理事

 コロナ禍以降、依然として厳しい状況に置かれているフィットネス業界において、多くの事業者がさまざまな施策を打ち出し、業績や顧客満足度の向上を目指し日々努力を重ねている。

 一方、同じくコロナ禍の影響を受けたはずの外食業界において、トリドールホールディングスは世界で21のブランド、約2000店舗を展開し、現在も破竹の勢いで成長を続けている。

 フィットネス業界と外食業界に共通するマーケティングの考え方として、従業員の内発化や顧客の感動を創造するシステム、予想外の驚きや衝動に働きかけていかに本能を刺激するか、またインサイトを深掘りして選ばれる確率を高めることなど、トリドールのマーケティングのエッセンスに触れ、今後のフィットネス業界の向上につなげていきたい。

吉田 皆さん、こんにちは。FIAの吉田でございます。FIAとしてはコロナ以降の立ち位置が難しい中で、新たな市場や考え方をインプットしていく必要があるのではないかと考え、本日はトリドールホールディングスの南雲克明さんにお話をしていただくことになりました。

 南雲さんのプロフィールをご紹介いたします。コナミスポーツ、アフタヌーンティールームなどのブランドマーケティング責任者を歴任され、早稲田大学の商学研究科にてMBAを取得されました。2018年よりトリドールホールディングスのマーケティング部長、22年より丸亀製麺取締役マーケティング本部長、同10月からトリドールホールディングス執行役員兼CMO、最高マーケティング責任者を務めておられます。それでは南雲さん、よろしくお願いいたします。

——以下、講演録


本日は貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございます。外食のマーケティングについてお話させていただきたいと思います。私はコナミスポーツに13年ほど勤めておりました。フィットネス業界から外食業界に移って12年になります。それを踏まえて、示唆や気づきなどをお伝えできればと思っております。

 先ほどご紹介いただきました通り、現在はトリドールホールディングスで執行役員兼CMOと、丸亀製麺で取締役マーケティング本部長として、マーケティングを統括しています。同時に、ラグジュアリーアパレルブランドや、食品メーカーのマーケティングのコンサルティングも手掛けております。

 トリドールは、世界30か国で21のブランドを約2000店舗展開するグローバルフードカンパニーです。日本で約1100店舗、海外で約900店舗あり、海外での成長のスピードは日本を追い越す勢いです。主力のブランドは丸亀製麺で、10の国と地域で1200店舗ほど展開をしています。アジアは親日の国が多く、ビジネスチャンスに恵まれています。特にインドネシアには約20店舗を展開しています。

 トリドールには他にもさまざまな業態のブランドがあり、『Kona‘s Coffee』というハワイをコンセプトにしたカフェレストランは現在50店舗ほどなのですが、売り上げは110億円と好調に伸びています。続いて、ラーメンの『ずんどう屋』。姫路の豚骨ナンバーワンブランド、ラー麺ずんどう屋として現在国内では約100店舗、昨年は上海に進出し、ラーメンブームに乗って成長しています。続いて、香港のソウルフードである米ヌードルのミーシェンを主力とする『TAMJAI  SAMGOR』。香港で約200店舗ほど、日本では東京に3店舗を展開しており、ヘルシーかつパンチのあるスープで非常においしいと評価していただいています。

 イギリスでは、リーズナブルな手作りピザの『Franco Manca』を2年前に買収しました。イギリスでは70店舗ほど展開していて、丸亀製麺のピザ版のような感じです。職人がつくり、店内の窯で焼くという業態がイギリスで繁盛しています。

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